Maman取材メンバー 干場です。
今回は、「谷野ファーム」さんにお邪魔いたしました。

浜松西部、大久保に広がるビニールハウス。
「朝鮮戦争の際に国の指定を受けて米軍のためのブロッコリーやセロリなどの西洋野菜をこの地でつくったところから始まった」と語り始める谷野守彦さんにこの場所への熱い想いが感じられる。



【野菜の実験室】

ルッコラ、タイム、ケールなどレストランで食べたことはあるが、普段の食卓では馴染みのない名前が谷野さんからどんどんでてくる。新しいことにチャレンジすることが好きな谷野さんは、両親から継いだサラダ菜の水耕栽培を軸にしながら、当時は珍しいイタリア野菜や浜松で働くブラジル人のためのブラジル野菜などをつくってきた。マーケットも確立されていないので、シェフやブラジルの乾物なども扱う輸入酒店などに売込みにいき、都内の有名レストランにまで販路を獲得していった。そんな中、シェフから珍しい種や枝などをもらっては、育ててみたという。まさに野菜の実験室。語る谷野さんは活き活きとして、楽しそう。話を聞いているこちらまで楽しくなってくる。



【国際感覚とその中で育まれた強さ】

東京農業大学国際農業開発学科を卒業された谷野さん。この学科は青年海外協力隊の派遣員の育成を行っていたという。大学4年の時、コロンビア、ブラジル、南米の諸国の農業を視察して回ったという谷野さんにはひとつのことに囚われない国際感覚と行動力がある。砂漠の緑化に興味を持ち、同じ東京農業大学に入った奥様もペルーで砂漠の中にできるロマスの調査にいったという。新しい野菜を開拓しては台頭してくる農家が現れる。そんな苦労も多いが、常に前を向き次の行動をおこしていく谷野夫妻には芯の強さがある。研究熱心で粘り強く、かつ、柔軟に対応できる性格は、新しいチャレンジを後押ししている。新しいことは方法論も確立されていないのでリスクも伴う。誰もが出来ることではない。



【9種類のリーフレタス】

気候の変動の影響もあり、夏場に弱かったサラダ菜。10年ぐらいかけてビニールハウスを改良し、現在では、9種類のリーフレタスを水耕栽培している。単一種で育てる方が管理も合理的で手間もかからないが、同一の産地で1度に様々な種類のリーフレタスが収穫できる谷野ファームの野菜は都内の有名ホテルやレストランに人気が高い。同じリーフレタスだけれど、ギザギザした葉っぱ、丸っこい葉っぱ、赤みのある葉っぱなど其々個性的で、一皿に集まれば彩り豊かで想像しているとどことなくワクワクしてくる。種も色々なものを試行錯誤し、外国の植種を扱っている輸入代理店からオランダ産のものを取り入れている。また、三方原用水に培養液を混ぜて育った野菜には大地からの恵みも受けている。インタビューの途中、浜松市内に店舗を構えるレストランのオーナーが野菜を買い付けに来た。谷野ファームのお野菜はお客様からの評判がよいという。取材の際、頂いたリーフレタス。早速、夜ご飯にサラダとして頂いた。葉の厚さがあるが苦味が少なく、しっかりと野菜の味が感じられドレッシングが無くても美味しく頂ける程だった。美味しい。浜松コンコルドホテルのレストランビュッフェ「シャンゼリゼ」のお野菜に使われているので、気になる方は、是非。



【想いを繋ぐ】

目利きのシェフから愛されて様々な野菜にチャレンジした気概のある谷野さん。私達が普段、野菜を口にする時、今日語られた物語を知らない。しかし、美味しい野菜に出逢うといつも脇役であった野菜が、一気に主役に躍り出る瞬間がある。谷野ファームのつくっている野菜もそんな野菜のひとつだろう。そして、今日のインタビューで、その野菜の物語を知った。現在、谷野ファームでは、タイ、インドネシア、カンボジア、フィリピンなどの若い青年を受け入れ指導に当たっている。ここで、指導を受けた若者が国に帰った時、ここで学んだ事が何かしらの影響を与えるだろう。しかし、一方で多くのスーパーでは地元野菜のコーナーが併設されるようになったが、一消費者として向かい合う時、どういうところに特徴があるのか分からない現実もある。今日、聞いたことが多くの方に伝わり少しでも地元野菜に関心を持つ人が増えればと願う。

谷野ファーム
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